2010年6月1日

四畳半神話体系の感想

森見登美彦の四畳半神話体系を読み終えた。

読み終えた第一の感想はライトノベルみたいな感じ、というところ。キャラクター小説という気がする。アニメから入っているので、キャラクターが第一にあるのだ。羽貫さん・小津・明石さん・城ヶ崎・樋口師匠…ぼくは人名を覚えるのが苦手だが、ここまで皆キャラが立っていると自然と覚えてしまっていた。

そして、主人公の語り口だが、人が言うにはこれは昔のユーモア小説というもので、懐かしいらしい。しかしぼくはそんなの知らないので、過剰修飾のなんだが頭が痛くなる文体と思った。ぼくはどちらかというと文章が凝っているのは嫌いなのだ。わざわざ普段使わない難しい単語・熟語を使う奴は嫌いだ。
この過剰修飾を削りとってエッセンスを凝縮すれば、50ページの短編に収められるのではないか、と感じる。作中同じ文章を4度も読ませられるのであるが、それを削るだけでも短くなるに違いない。しかし、この嫌になるくらい面倒な文章と小津たちの描写がこの小説の根幹なのだから、そこを削っては何も残らないのだろう。

ぼくが一番この小説で気に入ったのは主人公の性格だ。滝本竜彦に近いというのが、本当だった。
主人公は尊大でプライドが高く、しかして自虐的である。その性格を軽妙な語り口で表しているので、読んでいて主人公に苛つくこともなく、小津にむかつくこともなく、笑ってよめる。
自分の誇りを大切にしすぎるのと、行動を起こす前に熟考する質の性で、結局何にも為せない、というこの文にしてみるとだめだめな非生産的性格もこれまた面白い文章で表されている。

しかし、読み終えて悲しさがあった。エンターテイメントなのだ。残る物は少なかった。かといって読んでいる最中もちょっと語り口が鬱陶しくしてそんなに褒められるもんじゃなかった。
でもキャラクターは良かった。そんな小説だった。

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