2010年6月3日

クリムゾンの迷宮 読了

クリムゾンの迷宮読了。眠れぬ夜の睡眠薬として読んだつもりだったが気付くと朝日が昇っていた。

ホラー小説を読むのは好きではない。辛い目に遭いたくないからだ。ぼくは読み始めてすぐに、胃が痛くなってきて、こんなの読むのだったらイチャラブの毒にも薬にもならないものが欲しいと切実に思った。しかし、それは本作の主人公の考えていることと同じで、辛い目に遭うと、安全が欲しくてたまらなくなる。逆に安全が保証され退屈になると刺激が欲しくなる。そういうメカニズムなのである。

終わり方がネット上の感想では必ず言及されている。どこか物悲しげな終わり方が、本作の単純なストーリーに深い余韻をうんでいる。こういう終わり方は余韻がなんとも言えない気持ちにさせるが、欲求としては、結末が知りたい!というのが強い。よく、作品のあとエピローグで十年後の彼らは~なんてあるのは、その欲求を満たすためである。でも、ぼくはそういうのを読むと、かえって余韻を残すような話のラストいいな、と思うのだ。
単純なストーリー、と表したが、それは一場面で終わるからで、内容の描写はねちっこい。

作者の本は黒い家を読んだのみでこれが2作品目だ。作者は最大の恐怖は人間である、という信条があるらしく、狂った人間を恐怖の対象としている。しかし、ぼくはここが嫌いだ。人間の役割が恐怖に陥れるだけ、というのが嫌なのだ。人を殺す人間には、それに至る経緯があるはずだし、そこに納得したい。クスリで殺すようになったとしても、その人間の情報が欲しかった。悪い人間が悪いままで終わるのは嫌だ。それじゃあまりに役割分担という感じで作り物の匂いがする。その匂いで、ぼくは後半胸が痛くてたまらないような辛い目には遭わずに済んだ。

めっちゃ面白かったが、一夜にして読み終えてしまったため、なんだか夢のようなあっという間に過ぎ去ってしまった感じである。

0 件のコメント: