2012年12月30日

PC版シネモラ レビュー


 シネモラ(Sine Mora)はとても珍しい海外の横スクロールSTGである。背景は3Dでありながら重厚で素晴らしい出来映えであり、キャラクターも獣人というマニアックな造形で日本同人STGの安易な萌えキャラとは一線を画すキャラの立ったデザインである。世界観は星の成り立ちから生態まで用語集として記すこだわりよう。ストーリーは陰鬱で1機で敵陣に乗り込む悲哀がある。

 肝心のゲーム部分だが、難点が多々ある。まず本作の最重要点の時間がライフとなっている所。この制限時間は敵を倒すことによって増える。しかしこれが有効に機能していない。難易度は時間と敵の耐久力を向上させることによって上昇させているが、以下に述べる複数の要因の相乗効果によって全く快感のないゲームプレイとなってしまった。

①自機のメインショットの範囲が狭すぎる
 敵を倒すことによってライフ(時間)が増えるゲームではショット範囲が狭いのは敵を倒しにくい第一の原因だ。破壊には繊細な軸合わせが求められ神経を消耗する。討ち漏らすとライフが相対的に減るため常にシビアな操作が必要だ。

②パワーアップアイテムが被弾すると全部放出される上に画面から消える
 このゲームのアイテムはオブジェクトの壁では反射するがスクリーンの壁では反射しない。そのため画面端で被弾すると一瞬でアイテムが消え去り最弱の状態となる。そうすると①の要因により敵を破壊するのが困難となり難易度が上がる。初心者にはストレスが溜まるしパワーアップした自機を扱う楽しみも少ない。さらに被弾時の無敵がかなり短いため、無敵時間ないで回収できず被弾→アイテム回収→被弾のスパイラルでアッと言う間にライフ(時間)が減る。

③敵が堅い
 ①により複数の敵をまとめて倒せない上に、敵が堅いとなれば尚更破壊は困難となる。そして②によりパワーダウンもし易いとなればさらに敵を倒しにくい。

④弾の軌道が極めて予測し難い
 蛇のような軌道の弾・発射された後拡散する花火型の弾・自機を追従するミサイル・超高速自機狙い弾・本体の突進・打ち返し弾・非常に小さい弾。これらが合わさり覚えないと避けられないゲームになっている。覚えても小さい弾は視認性が悪くストレスを生むばかりだ。

⑤敵が背景扱いなのか敵扱いなのか分からない
 ビジュアルでの差異がまったくないためどれが敵でどれが背景なのか区別がつかない。なのでただでさえを敵を倒しにくい上に、敵ではなく背景だったりするのだ。

 以上の主な要因が重なり自弾は当たらず敵弾は避けにくいゲームとなっている。どれもストレスを生む要因ばかりだ。
 さらにこのゲームには致命的な弱点が存在する。

最大の欠点、連射コンによるバランス崩壊
 このゲームのソフト連射とシンクロ連射による火力の差は圧倒的でストーリーのチャレンジモードが連射コンによりベリーイージーぐらいの難易度におちる。上記の欠点を補う連射コンにより圧倒的な火力により敵弾を撃たれるまえの破壊が容易になる。連射コンを使わないというのはこのゲームにおいて自ら縛りプレイをしているような状況だ。わざわざ堅い敵をさらに堅くし弾ももっと当たりにくくしているようなものだ。それは不快感にしかならない。

総評

ゲーム部分はお世辞にも褒められたものではない。しかしそれ以外の部分がとても良い。美麗なグラフィックと落ち着いた音楽・詩的な文章と陰鬱で悲哀のあるストーリーは凡百のゲームとは違う独特な魅力であることは確かだ。